QUAD ESL-57 研究 その九

数値などを調べてみました。

まずはユニットのサイズ
 Lo 長辺  645mm ・ 短辺  323mm 、木枠も含めた厚み 23mm、ユニット自体の厚み 9mm ほど
 Hi 長辺  645mm ・ 短辺  187mm、     〃       18mm、     〃      5mm ほど


次にフイルムの厚み
防塵フィルム ・・・ 32枚で0.25mm  一枚では 7.8125μm 
信号フィルム ・・・ 32枚で0.42mm  一枚では 13.125μm

一枚ではとても測れないので、32枚に折り畳んで、(安物の)ディジタル・ノギスで測った数値です。 一枚当たりに割り返すとこのようになりますが、フィルムに付着した汚れや、導電剤の厚みによる誤差などもあり、当然のことながら、参考程度です。
触った感触では、手持ちの 5μ 6μ のものより(はるかに)厚く、また、硬く感じます。 これが厚み本来からくる感触なのか、あるいは経年劣化による硬化のためなのか、はたまたメーカーの違いによるものなのか判りません。

信号フィルムには12μのものが使われている、とどこかで見た記憶がありますので、妙に納得しています。

防塵フィルムの厚みは6μでしょうか。 材質は信号フィルムと同じポリエステルと見ました。
防塵フィルムは外す心算ですが、これが57の音色を作っている要素の一つだとすると考えてしまいます。
63系では、防塵フィルムを外すと、音のダイレクト感と「キレ」が増して好評なのですが、57では評価の基軸が変わる気がするので、難しいところだと思います。


導電剤は既に書いたとおりカーボン系ではありません。 剥がしたフィルムを見たら黄ばんでいたので二枚に重ねて撮ったのが次のものです。 ウーム・・・・元々の色なのか経年で変色したのか・・・・
背景は白紙を使ったのですが、かなりグレーに写っています。



信号フィルムに12μmのものが使われているとすると ・・・・ 以下、勝手な想像です。
重量が6μの倍になりますので、低域の量感は出ると思いますが、それとトレード・オフでトランジェントは低下するでしょう。 これが57の評価ポイントである「柔らかさ」に繋がっている、と言えるような気もします。
63系では6μが使われていると思われますが、これが音の「強さ」・「きつさ」の一因というような気すらしてきます。 これはトランスなど、他の回路素子の影響もありますので、当然、一概には言えないのですが、QUADが12μから6μに、また、導電剤をカーボンに変えた理由などなど、考えるとなかなか面白いと思います。

これで「造り」はほぼ判ったので、いよいよフィルムの張り替えに進みましょう。 さて、何か問題が出るのか、意外とスラッと行くのか、楽しみです。

              つづく・・・
トップページに戻る